掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は、手のひら(掌)や足の裏(蹠)に、膿(うみ)のたまった小さな水ぶくれ=膿疱が繰り返し出現する慢性の皮膚疾患です。
感染症ではなく、体質や免疫のバランスの乱れが関係していると考えられています。
主な症状
- 手のひら・足の裏にできる小さな白い膿疱
- 膿疱が破れると皮がむけ、赤みやかゆみ、ひび割れが生じる
- 症状を繰り返しながら慢性的に続く
- 爪の変形や爪周囲の炎症を伴うこともある
膿疱の中には細菌はいないため、人にうつることはありません。
原因
原因はひとつではなく、いくつかの要因が重なって発症します。
代表的なものとして以下が知られています。
- 喫煙(たばこ):最も関連が深く、禁煙は治療の第一歩です
- 扁桃炎や副鼻腔炎などの慢性炎症
- 歯科金属アレルギー
- ストレスや疲労、ホルモンバランスの変化
当院では、原因検索の一環として金属アレルギーのパッチテストも実施しています。
また、喫煙習慣のある方には、禁煙指導をあわせて行うことを推奨しています。
診断
皮膚の状態を観察し、特徴的な膿疱や紅斑の分布から診断します。
必要に応じて、ダーモスコピーや病理検査(皮膚生検)を行うこともあります。
治療
症状の重症度や経過に応じて、外用薬・内服薬・光線療法を組み合わせて行います。
- 外用治療:ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬など
- 内服治療:アプレミラスト(オテズラ®)をはじめとする免疫調整薬
- 光線療法:ナローバンドUVB照射やエキシマライト照射を用いて炎症を抑えます
- 原因治療:扁桃炎・副鼻腔炎・歯科金属アレルギーの治療、禁煙なども重要です
症状が強い場合や関節症状を伴う場合には、生物学的製剤による治療が必要となることもあります。
その際は、基幹病院にご紹介し、専門的治療を受けていただけます。