「手足や指にできる「いぼ(尋常性疣贅)」は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)による皮膚のウイルス感染が原因で生じる皮膚病変です。子どもから大人まで幅広くみられ、自然に治ることもありますが、放置すると拡大したり他の部位にうつることもあります。
尋常性疣贅とは?
尋常性疣贅は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)によって皮膚にできる良性の腫瘤です。ウイルスが皮膚の小さな傷から侵入することで感染し、特に以下のような部位に発生しやすくなります。
- 指、手のひら、足の裏、ひじ、ひざ など
- 子どもやスポーツをする方に多く見られます
- 感染したまま放置すると増えたり他の部位にうつったりすることがあります
当院の基本的な治療方針
いぼの部位・数・大きさ・経過・患者様の年齢や生活スタイルなどを総合的に判断し、段階的な治療を行います。
【1】標準治療
● 冷凍凝固療法(液体窒素による凍結)
- -196℃の液体窒素でいぼ組織を凍結・壊死させ、徐々に取り除く方法です。
- 当院では綿棒法とクライオプロ(スプレー法)の両方に対応しています。
● ヨクイニン(漢方薬)の内服
- ハトムギ由来の生薬で、免疫力を高めてウイルスを排除する働きがあります。
- 小児や多発例によく使用されます。
● サリチル酸の外用薬
- 角質を軟らかくし、いぼを少しずつ取り除きやすくします。
- 市販薬との併用については医師にご相談ください。
【2】難治性いぼへの対応(保険適応外治療を含みます)
通常の治療で反応が乏しい「しつこいいぼ」には、以下のような専門的な治療を組み合わせて対応します。
● いぼ剝ぎ法(角化除去手術)【保険適応】
- 局所麻酔を行い、剪刀(ハサミ)でいぼを剝離・切除する方法です。
- 他の治療に反応しない場合に選択します。
- 処置後はガーゼ保護と軟膏塗布を行い、数日間の経過観察が必要です。
● フェノール外用処置【※保険適応外】
- フェノール溶液をいぼに塗布し、たんぱく質を変性させていぼ組織を壊死させます。
- 軽度の痛みやかさぶた形成が起こることがあります。
● Nd:YAGレーザー治療【※保険適応外】
- 血管をターゲットにしたレーザーを照射し、いぼを栄養する血流を遮断して壊死を促します。
- 通常の治療で治らない頑固ないぼに適応します。
● 接触免疫療法(DCPC)【※保険適応外】
- 人工的なアレルギー反応を利用して、免疫の力でいぼを排除する方法です。
お悩みの方はお気軽にご相談ください
いぼは「放っておけば治る」と思われがちですが、悪化や他人への感染のリスクもあります。
治療にかかる回数や方法は個人差がありますので、まずはお気軽にご相談ください。